2009年も残すところあとわずか。今年も様々なCMが登場したが、振り返ってみるとCM本数は2001年以降では過去最低の9211銘柄となり、長引く“不景気”の影響が色濃く反映されていたといえる。CMに関する調査を行っているCM総合研究所の関根建男代表によると、そんな不況期には「歌×ダンス」で魅せるCMがヒットするという。今年話題となったのは
佐々木希と
佐藤健などが踊る『Fit’s』(ロッテ)や、懐かしい70年代のヒット曲「The Hustle」にのせて
中村獅童 と
松田翔太が“マッチョ軍団”とダンスバトルを繰り広げる『プロテインウォーター』(サントリー)、力士風の男性10人が
モーニング娘。の「恋愛レボリューション21」を踊りまくる『太麺堂々』(日清食品)など、新鮮さと懐かしさを併せ持ち、思わずクスッと笑ってしまう「歌×ダンス」CMだった。今年のヒットCMの傾向についてさらに関根代表に聞いてみた。
話題のCMがランクイン! 2009年ヒットCMランキング
「歌×ダンス」CMが数多く登場した理由として関根代表は、「少ない広告費で効率よく効果をあげるために、一度見たら忘れられない強烈なインパクトが求められ、意外性のある豪華なキャスティングや、歌・ダンスなどが代表的な手法としてあげられる」という。バブルがはじけ景気低迷期だった1994年ごろにも「歌×ダンス」CMが流行り、なおかつ「一連の作品には共通してナンセンスな笑いの要素があった」。当時は、
桃井かおりとサッカー選手の中山雅史が「ゴンゴンチャチャチャ♪」と社交ダンスを踊る『金鳥ゴン』(大日本除虫菊)や、一度聞いたら「勉強しまっせ 引越しのサカイ♪」というフレーズが頭から離れないサカイ引越しセンターのCMなどが登場した。このようなCMがヒットする裏には「生活者と等身大のユーモアが共感を集める傾向もあり、商品名の歌いこみや、わかりやすいストレートなユーモアを用いたCMのヒットが見受けられる」と分析する。
また、起用されるCMソングにも秘密が隠されている。今年のCMは過去にヒットした楽曲を使ったものが目立ち、『プロテインウォーター』以外にも『Fit’s』は「狼少年ケンのテーマ」、
SMAPが踊る『ソフトバンクモバイル』(SoftBank)は「ロコモーション」など、懐かしさを感じる楽曲が並ぶ。“懐かしソング”の起用には「“ながら視聴”する視聴者を振り向かせるには、全くの新曲よりも、既に知名度のある楽曲を使用するほうが有利に働くため」といい、「原曲をリアルタイムで知っている大人世代には懐かしさを、原曲を知らない世代には新鮮さを与え、幅広い世代への訴求が可能となる」との思惑もあるようだ。「過去への振り返りと閉塞感を打破したいという消費者心理が、CMのヒットにも影響を及ぼす」ということから、今年のヒットCMにおける“キーワード”が浮かび上がってくる。
|

[拡大写真]
『ボス レインボーマウンテン』 (サントリー)のCM
|
|
そのほか「消費者の関心を長期的にひきつけるために、続きを見たくさせるような連続性のあるストーリーCMも数多く発信される」という傾向も。一昨年から続く人気アニメ『サザエさん』の“25年後の磯野家”を描いた『OTONA GLICO』(江崎グリコ)や、地球を調査中の宇宙人ジョーンズがついに地球人と結婚した『ボス レインボーマウンテン』(サントリー)など、ストーリーが気になるCMの続編が登場し、注目を集めた。
では、すぐそこまでやってきている2010年はどんなCMがヒットするのだろうか? 「引き続き、歌×ダンスCMのトレンドは継続すると思われる。が、この手法がブームになるほど、好感度を獲得するハードルは高くなり、さらなる競争の激化が予測される」というだけに、今後も“インパクト大”なCMは増えそうだ。また、「景気低迷による閉塞感を打破したいという視聴者の潜在意識」から、“笑いの要素”を盛り込んだユニークなCMのヒットも期待できそうだ。